2023-03-15
「週刊文春」編集部
昨年1月の春高バレー(全日本バレーボール高等学校選手権大会)で、初優勝を果たした日本航空高校(山梨県)の男子バレー部で、監督による暴行が行われていることが「週刊文春」の取材で分かった。日本航空高校は、今年1月の春高バレーにも21年連続で出場を果たしている名門校。同校の月岡裕二監督(54)が選手に対し、ビンタ、胸を強く突くなどの暴行を行っている様子を収めた2本の動画を「週刊文春」は入手した。
『バレーボールを一にする』男子バレー部を率いる月岡監督のモットー
1932年創立の同校は、在校生の7割が寮生活を送る私立の共学校だ。
「戦前の山梨航空機関学校が前身で、全国的にも珍しく航空業界を目指す『航空科』が設置されている。スポーツも盛んで、硬式野球部やサッカー部は過去に全国大会に出場。男子バレー部は、昨年悲願の日本一になりました」(地元記者)
率いる月岡監督は神奈川の藤沢商高(現藤沢翔陵高)の主将兼エースとして日本一に輝くこと2回。明治大を経てサントリーでプレーし、第1回Vリーグの優勝メンバーとなった有名監督だ。
「1998年に日本航空高の監督に就任。選手がバレー第一に専念できる環境を作るために何をするのかが重要という『バレーボールを一にする』がモットーです」(スポーツ紙記者)
日常的に行われていた暴力を裏付ける2本の動画
「全国制覇」の文字が掲げられた体育館に「パーン」という甲高い音が響いたのは今年2月のある日のことだった(動画は「週刊文春 電子版」で公開)。学校関係者が語る。
「この動画は今年2月の日曜日に行われた他校との練習試合の模様です。月岡監督自らが試合後にプレーを確認するために設置したカメラの映像で、被害者は1年生のA君です」
日常的な暴行を裏付ける別の動画もある。そこでは月岡氏が2度、選手の胸あたりを強く突き、3度目に突いた手は首から顔あたりに直撃している。
高校バレー界では暴力問題で逮捕者が相次ぐ
折しも、日本スポーツ協会(JSPO)は3月9日、全国高等学校体育連盟(高体連)とも協力し、スポーツ界における暴力などを根絶することを目的とした「No!スポハラ」(仮称)活動を始めることを発表した。JSPOの森岡裕策専務理事は、「最近も暴力問題で高校のバレーボール部監督が逮捕された。スポーツ界が本気にならないといけない」と訴えている。
高校バレー界では、昨年6月に千葉県立松戸高校の女子バレーの指導者が至近距離からボールを選手に投げつけて怪我をさせ、傷害容疑で逮捕された。今年2月にも、市立船橋高校の顧問教諭が、ミスした部員に服を脱ぐように命じ、髪を掴み引きずって顔面にボールを投げつけていたことで、暴行容疑で逮捕された。そうした最中に起きた、全国大会優勝校の暴行動画について、当事者はどう答えるのか。
被害部員は監督をかばい、『暴行の事実はない』と回答したが…
月岡監督に取材を申し込んだが「学校を通して下さい」。校長が取材に応じた。
――月岡氏が平手打ちしたのは事実か。
「ありました」
――被害部員はヒアリングにどう答えているのか。
「当初はヒアリングに『暴行の事実はない』と答え、その後、『あったといえばありました。気合を入れてもらって、僕はそんなに嫌な思いはしていません』と監督をかばっています」
高体連は今回の件に対してどのような対応をするのか
――月岡氏への処分は?
「学校から厳重注意処分としていますが、今後も調査を続けていきます」
高校バレー界を巡っては、前述の通り、去年、今年と逮捕者が相次ぎ、さらに今回、日本一の高校でもこのような暴行が行われていることが明らかになった。日本バレーボール協会、高体連が今回の件に対してどのような対応をするのかも注目される。
3月15日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」では2本の暴行動画を公開、また3月16日(木)発売の「週刊文春」では、暴行に至った背景や月岡氏が説明していた暴行の理由なども含めて詳しく報じている。
https://bunshun.jp/articles/-/61368
昨年1月の春高バレー(全日本バレーボール高等学校選手権大会)で、初優勝を果たした日本航空高校(山梨県)の男子バレー部で、監督による暴行が行われていることが「週刊文春」の取材で分かった。日本航空高校は、今年1月の春高バレーにも21年連続で出場を果たしている名門校。同校の月岡裕二監督(54)が選手に対し、ビンタ、胸を強く突くなどの暴行を行っている様子を収めた2本の動画を「週刊文春」は入手した。
『バレーボールを一にする』男子バレー部を率いる月岡監督のモットー
1932年創立の同校は、在校生の7割が寮生活を送る私立の共学校だ。
「戦前の山梨航空機関学校が前身で、全国的にも珍しく航空業界を目指す『航空科』が設置されている。スポーツも盛んで、硬式野球部やサッカー部は過去に全国大会に出場。男子バレー部は、昨年悲願の日本一になりました」(地元記者)
率いる月岡監督は神奈川の藤沢商高(現藤沢翔陵高)の主将兼エースとして日本一に輝くこと2回。明治大を経てサントリーでプレーし、第1回Vリーグの優勝メンバーとなった有名監督だ。
「1998年に日本航空高の監督に就任。選手がバレー第一に専念できる環境を作るために何をするのかが重要という『バレーボールを一にする』がモットーです」(スポーツ紙記者)
日常的に行われていた暴力を裏付ける2本の動画
「全国制覇」の文字が掲げられた体育館に「パーン」という甲高い音が響いたのは今年2月のある日のことだった(動画は「週刊文春 電子版」で公開)。学校関係者が語る。
「この動画は今年2月の日曜日に行われた他校との練習試合の模様です。月岡監督自らが試合後にプレーを確認するために設置したカメラの映像で、被害者は1年生のA君です」
日常的な暴行を裏付ける別の動画もある。そこでは月岡氏が2度、選手の胸あたりを強く突き、3度目に突いた手は首から顔あたりに直撃している。
高校バレー界では暴力問題で逮捕者が相次ぐ
折しも、日本スポーツ協会(JSPO)は3月9日、全国高等学校体育連盟(高体連)とも協力し、スポーツ界における暴力などを根絶することを目的とした「No!スポハラ」(仮称)活動を始めることを発表した。JSPOの森岡裕策専務理事は、「最近も暴力問題で高校のバレーボール部監督が逮捕された。スポーツ界が本気にならないといけない」と訴えている。
高校バレー界では、昨年6月に千葉県立松戸高校の女子バレーの指導者が至近距離からボールを選手に投げつけて怪我をさせ、傷害容疑で逮捕された。今年2月にも、市立船橋高校の顧問教諭が、ミスした部員に服を脱ぐように命じ、髪を掴み引きずって顔面にボールを投げつけていたことで、暴行容疑で逮捕された。そうした最中に起きた、全国大会優勝校の暴行動画について、当事者はどう答えるのか。
被害部員は監督をかばい、『暴行の事実はない』と回答したが…
月岡監督に取材を申し込んだが「学校を通して下さい」。校長が取材に応じた。
――月岡氏が平手打ちしたのは事実か。
「ありました」
――被害部員はヒアリングにどう答えているのか。
「当初はヒアリングに『暴行の事実はない』と答え、その後、『あったといえばありました。気合を入れてもらって、僕はそんなに嫌な思いはしていません』と監督をかばっています」
高体連は今回の件に対してどのような対応をするのか
――月岡氏への処分は?
「学校から厳重注意処分としていますが、今後も調査を続けていきます」
高校バレー界を巡っては、前述の通り、去年、今年と逮捕者が相次ぎ、さらに今回、日本一の高校でもこのような暴行が行われていることが明らかになった。日本バレーボール協会、高体連が今回の件に対してどのような対応をするのかも注目される。
3月15日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」では2本の暴行動画を公開、また3月16日(木)発売の「週刊文春」では、暴行に至った背景や月岡氏が説明していた暴行の理由なども含めて詳しく報じている。
https://bunshun.jp/articles/-/61368