2023-04-27
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クレオパトラ女王を演じるアデル・ジェームズ。(ネットフリックス)
クレオパトラ女王はリトル・マーメイドとは違う
https://www.arabnews.jp/article/no-category/article_90057/
ファイサル・アッバス
エジプト人には茶化せるネタがいくらでもあるが、その歴史や文化については例外だ。このアラブ世界で最もユーモアがあっておおらかなこの人々も、象徴やモニュメント(キリストの誕生より3000年以上前のものもある)について侮辱したり、軽視したり、事実を歪めて表現したりするようなことだけは絶対に許さないだろう。
ネットフリックスの最新シリーズ『アフリカン・クイーンズ:クレオパトラ』をめぐって起きている論争が多くのアメリカ人には理解されていないらしいのはそれが理由だ。結局、米国の歴史は247年に過ぎないのだ。シリーズのエグゼクティブプロデューサー、ジェイダ・ピンケット・スミスもそのひとりである。スミスは、同作品の製作の動機について黒人の女王の物語が十分に語られていないことに対する問題意識を挙げている。
いくらスミスの目的が高尚でも、彼女が古代エジプト文明に精通し、関心を持っているとしても、一般のエジプト人にとってのこのテーマの意味を彼女たちアメリカ人が同じように受け止めることはまずないだろう。事実、エジプト人は幼い頃から、自分たちの文化や豊かな歴史に誇りを持つことを、ほとんど愛国者の義務であるかのように教えられている。
炎上中の論争について知らない読者のために説明しておきたい。要は、この作品で歴史的なエジプトの女王役に英国の黒人俳優デル・ジェームズがキャスティングされたのである。
では何が問題なのか。このシリーズがフィクションなら、当然何も言うことはない。以前も言及したとおり、アデル・ジェームズは優れた俳優だ。
唯一の問題は、ネットフリックスがこのシリーズを「ドキュメンタリードラマ」に分類したことだ。この分類だと、視聴者は、可能な限り事実にもとづいて描かれた作品だと思って観ることになる。クレオパトラについてわかっていることから推測するに、彼女はマケドニア系のギリシャ人だったと考えられるので、白人の俳優が演じるほうが史実に近いということになる(つまり、アラブ人がこの役を演じても正確とは言えない)。
ところで、これは私の個人的な見解ではなく、世界最先端のエジプト学の専門家ザヒ・ハワス博士による情報をもとにした意見である。
中略
そして、議論の性質上、現在の米国の過熱する人種的政治問題の状況を見れば言うまでもないが、醜く、侮辱的でまったく不必要な人種差別的なコメントがネット上にあふれることになった。
実際に昨年9月、国連総会の時期にニューヨークにいたとき、私は自分自身でそれを経験した。当時、大きな話題になったのはディズニーの新しい『リトル・マーメイド』の予告編の公開だった。黒人俳優のハリー・リン・ベイリーが人魚のアリエルを演じた映画である。
そのときにネット上で起きた騒ぎと怒りは信じられなかった。何より、単なるアニメのキャラクターが政治的な存在になってこれほどまでに憎悪を呼び起こすとはどういうことか。繰り返しになるが、私はアメリカ人ではないので立場は変わらない。アリエルはアニメのキャラクターだ。黒人がアリエルを演じることの何が問題なのか。
ハリウッドの多くの大企業と同様、歴史的にインクルージョンの達成度が低いディズニーの賢明な判断なのだと思った。マーベルも、実験的に黒人のスパイダーマンを登場させている。この地域の私たちにとってさらに重要なのは、アラブ人やイスラム教徒が悪役ではなくヒーローとしてキャスティングされるようになることだ。
だが、今回の件については、問題は明らかであり、まったく別の話である。クレオパトラ女王は人魚姫ではない。クレオパトラは何千年も前に実在した歴史的人物で、人魚姫は1837年にさかのぼる想像上のキャラクターだ。さらに、私たちアラブ人、特にエジプト人は、米国の人種的政治問題には含まれていないし、何のかかわりも望んでいない。私も、私が話した多くのエジプト人ジャーナリストやアーティストも、この作品が単なるフィクションとして発表されていたら、クレオパトラ女王が眉をひそめたとは思わない。…
全文はソース参照
ファイサル・J・アッバスはアラブニュースの編集長である。
※関連スレ
【論争に一石】「クレオパトラは黒人ではなかった」エジプト学の権威が物議を醸すNetflixの番組に言及 [ギズモ★]
クレオパトラ女王を演じるアデル・ジェームズ。(ネットフリックス)
クレオパトラ女王はリトル・マーメイドとは違う
https://www.arabnews.jp/article/no-category/article_90057/
ファイサル・アッバス
エジプト人には茶化せるネタがいくらでもあるが、その歴史や文化については例外だ。このアラブ世界で最もユーモアがあっておおらかなこの人々も、象徴やモニュメント(キリストの誕生より3000年以上前のものもある)について侮辱したり、軽視したり、事実を歪めて表現したりするようなことだけは絶対に許さないだろう。
ネットフリックスの最新シリーズ『アフリカン・クイーンズ:クレオパトラ』をめぐって起きている論争が多くのアメリカ人には理解されていないらしいのはそれが理由だ。結局、米国の歴史は247年に過ぎないのだ。シリーズのエグゼクティブプロデューサー、ジェイダ・ピンケット・スミスもそのひとりである。スミスは、同作品の製作の動機について黒人の女王の物語が十分に語られていないことに対する問題意識を挙げている。
いくらスミスの目的が高尚でも、彼女が古代エジプト文明に精通し、関心を持っているとしても、一般のエジプト人にとってのこのテーマの意味を彼女たちアメリカ人が同じように受け止めることはまずないだろう。事実、エジプト人は幼い頃から、自分たちの文化や豊かな歴史に誇りを持つことを、ほとんど愛国者の義務であるかのように教えられている。
炎上中の論争について知らない読者のために説明しておきたい。要は、この作品で歴史的なエジプトの女王役に英国の黒人俳優デル・ジェームズがキャスティングされたのである。
では何が問題なのか。このシリーズがフィクションなら、当然何も言うことはない。以前も言及したとおり、アデル・ジェームズは優れた俳優だ。
唯一の問題は、ネットフリックスがこのシリーズを「ドキュメンタリードラマ」に分類したことだ。この分類だと、視聴者は、可能な限り事実にもとづいて描かれた作品だと思って観ることになる。クレオパトラについてわかっていることから推測するに、彼女はマケドニア系のギリシャ人だったと考えられるので、白人の俳優が演じるほうが史実に近いということになる(つまり、アラブ人がこの役を演じても正確とは言えない)。
ところで、これは私の個人的な見解ではなく、世界最先端のエジプト学の専門家ザヒ・ハワス博士による情報をもとにした意見である。
中略
そして、議論の性質上、現在の米国の過熱する人種的政治問題の状況を見れば言うまでもないが、醜く、侮辱的でまったく不必要な人種差別的なコメントがネット上にあふれることになった。
実際に昨年9月、国連総会の時期にニューヨークにいたとき、私は自分自身でそれを経験した。当時、大きな話題になったのはディズニーの新しい『リトル・マーメイド』の予告編の公開だった。黒人俳優のハリー・リン・ベイリーが人魚のアリエルを演じた映画である。
そのときにネット上で起きた騒ぎと怒りは信じられなかった。何より、単なるアニメのキャラクターが政治的な存在になってこれほどまでに憎悪を呼び起こすとはどういうことか。繰り返しになるが、私はアメリカ人ではないので立場は変わらない。アリエルはアニメのキャラクターだ。黒人がアリエルを演じることの何が問題なのか。
ハリウッドの多くの大企業と同様、歴史的にインクルージョンの達成度が低いディズニーの賢明な判断なのだと思った。マーベルも、実験的に黒人のスパイダーマンを登場させている。この地域の私たちにとってさらに重要なのは、アラブ人やイスラム教徒が悪役ではなくヒーローとしてキャスティングされるようになることだ。
だが、今回の件については、問題は明らかであり、まったく別の話である。クレオパトラ女王は人魚姫ではない。クレオパトラは何千年も前に実在した歴史的人物で、人魚姫は1837年にさかのぼる想像上のキャラクターだ。さらに、私たちアラブ人、特にエジプト人は、米国の人種的政治問題には含まれていないし、何のかかわりも望んでいない。私も、私が話した多くのエジプト人ジャーナリストやアーティストも、この作品が単なるフィクションとして発表されていたら、クレオパトラ女王が眉をひそめたとは思わない。…
全文はソース参照
ファイサル・J・アッバスはアラブニュースの編集長である。
※関連スレ
【論争に一石】「クレオパトラは黒人ではなかった」エジプト学の権威が物議を醸すNetflixの番組に言及 [ギズモ★]