2023-04-28
1968年に初出場した大東大は、7年後の75年に初優勝を果たした。初陣は最下位の15位だったが、68年春に青葉 昌幸よしゆき さん(80)が監督に就任してからは毎回シード権を確保し、頂点まで上りつめた。それから計4度の優勝を誇る実力校の草創期には、痛ましい事故があった。
■徹夜で看病した青葉監督、選手の心つかみV4度へ道…1975、76、90、91年
青葉さんが監督に就任して間もない68年6月、遠征先の神奈川県小田原市で、選手たちが乗っていたマイクロバスが、丁字路で横から来た車に衝突された。選手1人が大けがを負い、生死の境をさまよった。「こいつが死んだら、俺は責任を取って、やめなきゃいけない」。そう覚悟して、青葉さんは手術に立ち会い、徹夜で看病した。幸いにも選手は一命を取り留めた。
この事故を境に、選手たちの新監督を見る目が変わったという。当時の青葉さんは現役を退いたばかりで、指導経験がない25歳の青年監督。「最初は『本当にやる気があるのか。冷やかしか』と思っていた学生たちも、感じるものがあったと思う」と振り返る。年齢が近い学生たちと真剣に向き合って強化し、初めて挑んだ69年の箱根駅伝は7位で初のシード権獲得。「初優勝の時よりも、その時の方がうれしかった」と語る。
■スカウト競争では不利、「山」のスペシャリストを独自発掘 新興校のため有力な高校生の勧誘には苦労した。そこで実績はなくても、自分の目で見て光るものがある高校生に声をかけた。「勝つためには何か特徴がないといけない。それが『山の大東』だった」。特に5、6区で活躍できそうな選手を発掘した。選手層が徐々に厚くなっていったのは、青葉さんの眼力によるところが大きかった。
73年から2年連続2位となり、迎えた75年は絶対的な自信があった。5区に山登りの名人と呼ばれた大久保初男を擁し、平地の区間でも力のある選手が並んだ。4、5、6、7、10区で区間賞を獲得。主将でアンカーだった竹内譲二さん(72)は「メンバーがそろっていた。練習では、どこにも負けないくらい走っていた」と懐かしむ。
■名人・大久保初男、奈良修…復活へ系譜は受け継がれるか
76年も連覇。さらに90、91年にも2連覇を達成した。その後は優勝から遠ざかっており、2022年に就任した真名子 圭きよし 監督(44)が復活を目指している。青葉さんは教え子に「他のチームと同じことをやっていては太刀打ちできないよ。真名子のチームを作らなければ」と助言する。青葉さんが築いた伝統は、再び輝きを放つか。(田上幸広)
読売新聞2023/04/28 16:33
https://www.yomiuri.co.jp/hakone-ekiden/news/20230419-OYT1T50249/
■徹夜で看病した青葉監督、選手の心つかみV4度へ道…1975、76、90、91年
青葉さんが監督に就任して間もない68年6月、遠征先の神奈川県小田原市で、選手たちが乗っていたマイクロバスが、丁字路で横から来た車に衝突された。選手1人が大けがを負い、生死の境をさまよった。「こいつが死んだら、俺は責任を取って、やめなきゃいけない」。そう覚悟して、青葉さんは手術に立ち会い、徹夜で看病した。幸いにも選手は一命を取り留めた。
この事故を境に、選手たちの新監督を見る目が変わったという。当時の青葉さんは現役を退いたばかりで、指導経験がない25歳の青年監督。「最初は『本当にやる気があるのか。冷やかしか』と思っていた学生たちも、感じるものがあったと思う」と振り返る。年齢が近い学生たちと真剣に向き合って強化し、初めて挑んだ69年の箱根駅伝は7位で初のシード権獲得。「初優勝の時よりも、その時の方がうれしかった」と語る。
■スカウト競争では不利、「山」のスペシャリストを独自発掘 新興校のため有力な高校生の勧誘には苦労した。そこで実績はなくても、自分の目で見て光るものがある高校生に声をかけた。「勝つためには何か特徴がないといけない。それが『山の大東』だった」。特に5、6区で活躍できそうな選手を発掘した。選手層が徐々に厚くなっていったのは、青葉さんの眼力によるところが大きかった。
73年から2年連続2位となり、迎えた75年は絶対的な自信があった。5区に山登りの名人と呼ばれた大久保初男を擁し、平地の区間でも力のある選手が並んだ。4、5、6、7、10区で区間賞を獲得。主将でアンカーだった竹内譲二さん(72)は「メンバーがそろっていた。練習では、どこにも負けないくらい走っていた」と懐かしむ。
■名人・大久保初男、奈良修…復活へ系譜は受け継がれるか
76年も連覇。さらに90、91年にも2連覇を達成した。その後は優勝から遠ざかっており、2022年に就任した真名子 圭きよし 監督(44)が復活を目指している。青葉さんは教え子に「他のチームと同じことをやっていては太刀打ちできないよ。真名子のチームを作らなければ」と助言する。青葉さんが築いた伝統は、再び輝きを放つか。(田上幸広)
読売新聞2023/04/28 16:33
https://www.yomiuri.co.jp/hakone-ekiden/news/20230419-OYT1T50249/