2023-05-24
映画情報2023.05.19
ウォーターゲート事件の真相に迫る!
大統領の陰謀【坂本朋彦のシネフィル・コラム】
5月24日(水)[BSプレミアム]午後1:00〜3:19
1972年6月、民主党本部のビルへの不法侵入者が逮捕されたのをきっかけにニクソン大統領の側近や関係者がさまざまな不正や違法行為に関与していたことが明らかになり、アメリカを揺るがす政治スキャンダルとなったウォーターゲート事件。
今回ご紹介するのは、真相に迫ろうと事件を取材しスクープを掲載したワシントン・ポスト紙の記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインを緊迫感あふれる演出で描き、今も高く評価される傑作です。
映画を企画したのはロバート・レッドフォード。世界的なスーパースターであり、政治にも深い関心を持っていたレッドフォードは、ウッドワードとバーンスタインに直接コンタクトをとって映画化権を取得。旧知の名脚本家ウィリアム・ゴールドマンも交えて物語を構想します。
当初は製作に専念するつもりでしたが、映画会社から、主演が映画化の条件とされ、ウッドワードを演じることになります。さらにレッドフォードは演技派スターのダスティン・ホフマンにバーンスタインを演じてほしいとオファーし、初共演が実現。
2人は、お互いのセリフを覚えるなど綿密な演技プランを練り、撮影では即興も交えた絶妙のコンビネーションをみせ、迫真の場面を作りあげています。
レッドフォード単独でも圧巻の演技をみせています。中盤、金の行方を電話取材する場面。なんと6分ものワンカットです。言われなければ気付かないくらいのゆっくりしたスピードでカメラがレッドフォードに近づき、電話に集中する姿を捉えます。まるで本当の取材現場に居合わせているかのような緊張感みなぎる名場面となっています。
音にも注目です。冒頭、音のない真っ白な画面が15秒ほども続き、突然タイプライターが鳴り響き、日付が刻まれます。この映画はタイプライターが主役、“ペンは剣よりも強し”がテーマであることを表現しています。このタイプの音、強烈なインパクトをもたらすために銃砲や鞭むちを打つ音もミックスされているということです。
ハリウッドのスタジオにワシントン・ポスト紙のオフィスを完璧に再現した美術セット、画面の手前にも奥にもピントを合わせられるレンズを使い、さまざまな事象が同時に起きていることを表現する映像…、アラン・J・パクラ監督の名演出に超一流のスタッフ・キャストが見事に応えています。
何度見ても、新たな発見があり、新鮮な感動に包まれる社会派ドラマ。ぜひご覧ください。
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/uploads/original/38647/38647_2.jpg
プレミアムシネマ「大統領の陰謀」
5月24日(水)[BSプレミアム]午後1:00〜3:19
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=38647
坂本朋彦
【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)
1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。
ウォーターゲート事件の真相に迫る!
大統領の陰謀【坂本朋彦のシネフィル・コラム】
5月24日(水)[BSプレミアム]午後1:00〜3:19
1972年6月、民主党本部のビルへの不法侵入者が逮捕されたのをきっかけにニクソン大統領の側近や関係者がさまざまな不正や違法行為に関与していたことが明らかになり、アメリカを揺るがす政治スキャンダルとなったウォーターゲート事件。
今回ご紹介するのは、真相に迫ろうと事件を取材しスクープを掲載したワシントン・ポスト紙の記者ボブ・ウッドワードとカール・バーンスタインを緊迫感あふれる演出で描き、今も高く評価される傑作です。
映画を企画したのはロバート・レッドフォード。世界的なスーパースターであり、政治にも深い関心を持っていたレッドフォードは、ウッドワードとバーンスタインに直接コンタクトをとって映画化権を取得。旧知の名脚本家ウィリアム・ゴールドマンも交えて物語を構想します。
当初は製作に専念するつもりでしたが、映画会社から、主演が映画化の条件とされ、ウッドワードを演じることになります。さらにレッドフォードは演技派スターのダスティン・ホフマンにバーンスタインを演じてほしいとオファーし、初共演が実現。
2人は、お互いのセリフを覚えるなど綿密な演技プランを練り、撮影では即興も交えた絶妙のコンビネーションをみせ、迫真の場面を作りあげています。
レッドフォード単独でも圧巻の演技をみせています。中盤、金の行方を電話取材する場面。なんと6分ものワンカットです。言われなければ気付かないくらいのゆっくりしたスピードでカメラがレッドフォードに近づき、電話に集中する姿を捉えます。まるで本当の取材現場に居合わせているかのような緊張感みなぎる名場面となっています。
音にも注目です。冒頭、音のない真っ白な画面が15秒ほども続き、突然タイプライターが鳴り響き、日付が刻まれます。この映画はタイプライターが主役、“ペンは剣よりも強し”がテーマであることを表現しています。このタイプの音、強烈なインパクトをもたらすために銃砲や鞭むちを打つ音もミックスされているということです。
ハリウッドのスタジオにワシントン・ポスト紙のオフィスを完璧に再現した美術セット、画面の手前にも奥にもピントを合わせられるレンズを使い、さまざまな事象が同時に起きていることを表現する映像…、アラン・J・パクラ監督の名演出に超一流のスタッフ・キャストが見事に応えています。
何度見ても、新たな発見があり、新鮮な感動に包まれる社会派ドラマ。ぜひご覧ください。
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/uploads/original/38647/38647_2.jpg
プレミアムシネマ「大統領の陰謀」
5月24日(水)[BSプレミアム]午後1:00〜3:19
https://www6.nhk.or.jp/nhkpr/post/original.html?i=38647
坂本朋彦
【コラム執筆者】坂本朋彦(さかもと・ともひこ)
1990年アナウンサーとしてNHK入局。キャスターやニュースなどさまざまな番組を担当。2014年6月からプレミアムシネマの担当プロデューサーに。