2023-03-26
2023.03.26
週刊現代講談社
月曜・水曜発売
名脇役、名バイプレイヤーたちの生き様に迫るシリーズ『脇役稼業』。今回は小池朝雄さん。
https://gendai.media/articles/-/107828?page=1&imp=0
どんな汚れ役も生き生きと演じた
「小池朝雄さんは、僕が脚本を書いた映画に10本以上出てくれました。『陽暉楼』('83年)では稲宗組の親分役で、緒形拳演じる女衒に嫌がらせをしたあげく、散髪屋で胸を撃ち抜かれ殺されてしまう。ワル役をあんなに楽しそうに生き生きと演じる役者はいません」(脚本家の高田宏治氏)
小池は「仁義なき戦い」シリーズ('73年~)など、東映のヤクザ映画に欠かせない存在だった。ギロリとした目つきと渋い声に凄みがあった。高田氏は、そんな小池に惚れ込んだ。
「東映育ちの生粋の悪役は、どうしても芝居が型にはまってワンパターンになりがちです。見るからに悪党という顔の人が多い。でも小池さんは強面ではなく、文学座で基礎を積み重ねただけあってセリフが立つし、口調に重みがありました」
20年以上、小池と行動をともにした劇団昴の元代表理事・杉本了三氏が言う。
「殺され役が多かった小池は『俺はいつも物語の終わりまで生きていないんだよ』と笑っていました。でも『役者は呼ばれるまで待つのも仕事で、自分が出たいものに出られるなんてまずない』と言い、どんな仕事も全力投球でしたね」
妻の菱子氏が述懐する。
「殺されるような役でも、本人は映画の撮影を楽しんでいたようです。家では、私を相手にセリフの練習をしていました」
小池は、ドラマ『刑事コロンボ』('72年~)の吹き替えやドラマ『妻は告白する』('83年)での弁護士役など、"善"の側の役も演じた。「軽妙で飄々としたしゃべり口調ながら、じわじわと犯人を追いつめていくコロンボは、はまり役でしたね」(高田氏)
声の仕事が多かったのは、若い頃からの鍛錬の賜物だった。杉本氏が言う。
「小池は語りが好きで、文学座の先輩の中村伸郎さんなどから熱心に朗読の指導を受けていたそうです」
死の直前までマイクに…
https://gendai.media/articles/-/107828?page=2
週刊現代講談社
月曜・水曜発売
名脇役、名バイプレイヤーたちの生き様に迫るシリーズ『脇役稼業』。今回は小池朝雄さん。
https://gendai.media/articles/-/107828?page=1&imp=0
どんな汚れ役も生き生きと演じた
「小池朝雄さんは、僕が脚本を書いた映画に10本以上出てくれました。『陽暉楼』('83年)では稲宗組の親分役で、緒形拳演じる女衒に嫌がらせをしたあげく、散髪屋で胸を撃ち抜かれ殺されてしまう。ワル役をあんなに楽しそうに生き生きと演じる役者はいません」(脚本家の高田宏治氏)
小池は「仁義なき戦い」シリーズ('73年~)など、東映のヤクザ映画に欠かせない存在だった。ギロリとした目つきと渋い声に凄みがあった。高田氏は、そんな小池に惚れ込んだ。
「東映育ちの生粋の悪役は、どうしても芝居が型にはまってワンパターンになりがちです。見るからに悪党という顔の人が多い。でも小池さんは強面ではなく、文学座で基礎を積み重ねただけあってセリフが立つし、口調に重みがありました」
20年以上、小池と行動をともにした劇団昴の元代表理事・杉本了三氏が言う。
「殺され役が多かった小池は『俺はいつも物語の終わりまで生きていないんだよ』と笑っていました。でも『役者は呼ばれるまで待つのも仕事で、自分が出たいものに出られるなんてまずない』と言い、どんな仕事も全力投球でしたね」
妻の菱子氏が述懐する。
「殺されるような役でも、本人は映画の撮影を楽しんでいたようです。家では、私を相手にセリフの練習をしていました」
小池は、ドラマ『刑事コロンボ』('72年~)の吹き替えやドラマ『妻は告白する』('83年)での弁護士役など、"善"の側の役も演じた。「軽妙で飄々としたしゃべり口調ながら、じわじわと犯人を追いつめていくコロンボは、はまり役でしたね」(高田氏)
声の仕事が多かったのは、若い頃からの鍛錬の賜物だった。杉本氏が言う。
「小池は語りが好きで、文学座の先輩の中村伸郎さんなどから熱心に朗読の指導を受けていたそうです」
死の直前までマイクに…
https://gendai.media/articles/-/107828?page=2