2023-05-20
2023.05.20(Sat)
北村 泰介
「あっしには関わりのねぇことで…」。長楊枝をくわえて発するセリフが流行語になったのは半世紀前のこと。大ブームを巻き起こしたフジテレビ時代劇「木枯し紋次郎」シリーズ(1972-73年放送)の主役・中村敦夫は、83歳になった今も社会問題と向き合った表現活動を続けている。
2017年から始めた朗読劇「線量計が鳴る」はコロナ禍のため中断しているが、その逆境を克服すべく、公演内容を収録したDVDを昨年制作し、今年4月には英語と日本語の字幕版を新たに発売した。中村がよろず~ニュースの取材に対し、その経緯や作品に込めた思いを語った。
2011年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故に衝撃を受けた。
「当時、私は政治的、社会的な活動から遠ざかっていた。02年に参議院で環境政党(みどりの会議)を立ち上げ、全国区で展開したのですが、関心を持ってもらえず(04年解散)、政治家を引退せざるを得なかった。そこで、この私にできることは何かを考えた時、やはり、物を書き、演じること。それは一人でもできますから」
作家として日本ペンクラブの理事を務め、環境委員長だった時に「3・11」に直面した。
「周囲で原発の危険を訴える人も少なかったため、私は『チェルノブイリに行こう』と提案し、当時の会長だった浅田次郎さんら日本ペンクラブから7人の代表が、いま戦争の渦中にあるウクライナのキーウを拠点にチェルノブイリに行き、これは大変な問題だと気づいてくれた。
その責任は果たせた一方、私個人としては表現者としてどうしたらいいものか?映画や演劇などの大規模なものではなく、1人でやれてインパクトのある方法で…と考えた末にたどり着いたのが朗読劇というスタイルでした」
全国を巡回した。〝朗読劇〟と銘打つが、実質は一人芝居。リュックを背負い、線量計を手にし、2時間近く立ち続けて、元・原発技師という役を演じる。
脚本は2年かけて自ら執筆。独白には喜怒哀楽、歌も混じる。その上で、詳細なデータを元に、原発の問題点や背景、被ばくの危険性、事故の実態などが平易な言葉で語られる。
「先生が上から目線で啓蒙していくのはなじみにくい。一番分かりやすいのは原発の技術者が当事者として体験に根ざして語ること。そこから問題の本質が明確に浮き上がってくるという構図です。
どうしても理屈っぽくなってしまうため、何度も書き直しながら、地元で生まれ育った技師が東北弁でやったらどうかと思いつき、スムーズに書けた。私も小学生の時から福島県で育ったので東北弁でやることのリアリティーが出てきた。
長野県でやった時は、終演後に聴衆の一人が来て、私を本当の原発技術者だと勘違いして『あなたは原発の現場をクビになったらしいけど、退職金はちゃんともらったのか?』と真剣な顔で聞かれた。方言はリアリティーを生むのだなとビックリしました」
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://yorozoonews.jp/article/14909044
北村 泰介
「あっしには関わりのねぇことで…」。長楊枝をくわえて発するセリフが流行語になったのは半世紀前のこと。大ブームを巻き起こしたフジテレビ時代劇「木枯し紋次郎」シリーズ(1972-73年放送)の主役・中村敦夫は、83歳になった今も社会問題と向き合った表現活動を続けている。
2017年から始めた朗読劇「線量計が鳴る」はコロナ禍のため中断しているが、その逆境を克服すべく、公演内容を収録したDVDを昨年制作し、今年4月には英語と日本語の字幕版を新たに発売した。中村がよろず~ニュースの取材に対し、その経緯や作品に込めた思いを語った。
2011年の東日本大震災に伴う福島第一原発事故に衝撃を受けた。
「当時、私は政治的、社会的な活動から遠ざかっていた。02年に参議院で環境政党(みどりの会議)を立ち上げ、全国区で展開したのですが、関心を持ってもらえず(04年解散)、政治家を引退せざるを得なかった。そこで、この私にできることは何かを考えた時、やはり、物を書き、演じること。それは一人でもできますから」
作家として日本ペンクラブの理事を務め、環境委員長だった時に「3・11」に直面した。
「周囲で原発の危険を訴える人も少なかったため、私は『チェルノブイリに行こう』と提案し、当時の会長だった浅田次郎さんら日本ペンクラブから7人の代表が、いま戦争の渦中にあるウクライナのキーウを拠点にチェルノブイリに行き、これは大変な問題だと気づいてくれた。
その責任は果たせた一方、私個人としては表現者としてどうしたらいいものか?映画や演劇などの大規模なものではなく、1人でやれてインパクトのある方法で…と考えた末にたどり着いたのが朗読劇というスタイルでした」
全国を巡回した。〝朗読劇〟と銘打つが、実質は一人芝居。リュックを背負い、線量計を手にし、2時間近く立ち続けて、元・原発技師という役を演じる。
脚本は2年かけて自ら執筆。独白には喜怒哀楽、歌も混じる。その上で、詳細なデータを元に、原発の問題点や背景、被ばくの危険性、事故の実態などが平易な言葉で語られる。
「先生が上から目線で啓蒙していくのはなじみにくい。一番分かりやすいのは原発の技術者が当事者として体験に根ざして語ること。そこから問題の本質が明確に浮き上がってくるという構図です。
どうしても理屈っぽくなってしまうため、何度も書き直しながら、地元で生まれ育った技師が東北弁でやったらどうかと思いつき、スムーズに書けた。私も小学生の時から福島県で育ったので東北弁でやることのリアリティーが出てきた。
長野県でやった時は、終演後に聴衆の一人が来て、私を本当の原発技術者だと勘違いして『あなたは原発の現場をクビになったらしいけど、退職金はちゃんともらったのか?』と真剣な顔で聞かれた。方言はリアリティーを生むのだなとビックリしました」
===== 後略 =====
全文は下記URLで
https://yorozoonews.jp/article/14909044