2023-03-24
放送法の「政治的公平」の解釈を巡り、第2次安倍政権内のやり取りを記した行政文書が波紋を広げている。立憲民主党の参院議員が公表し、総務省も全文を開示した文書を読むと、安倍晋三首相(当時)の意向を受け、首相官邸側が「けしからん番組は取り締まる」(当時の礒崎陽輔首相補佐官)という考えで、放送法の事実上の解釈変更を同省にさせた過程が分かる。長年にわたり、さまざまな番組にコメンテーターなどとして出演する放送プロデューサー、デーブ・スペクターさんの目には、今回の問題はどう映っているのだろうか。【後藤豪】
米国のメディアはもっと偏っている
この問題の背景にあるのは、礒崎氏らが当時、政権批判もする民放の一部報道番組を内容に偏りのある「けしからん番組」と捉えたことだった。
「日本はうらやましいくらい健全ですよ。アメリカのメディアなんて分断しているし、それぞれものすごい偏っているんですから」。米国でテレビプロデューサーとして働いた経験があり、日米のテレビ事情に精通しているデーブさんはこう切り出した。
「保守系メディアのFOXニュースは共和党寄りで、一日中、民主党バッシングばかりやっています。逆に(米国の3大テレビネットワークの一つ)NBC系列の24時間ニュースチャンネルMSNBCは完全に民主党寄りの放送をしています。アメリカは今、メディアリテラシーが低いんです」
対する日本の番組はどうだろうか。デーブさんは、討論番組の多くは意見が異なる論客を呼んでいるほか、情報番組ではタレントや文化人がコメンテーターを務める番組も多い点に触れ、「十分すぎるくらいバランスが取れています」と評価する。
「サンデーモーニング」は“異色”
そんな中、デーブさんが“異色”と呼ぶ番組がある。1987年に始まったTBS系の長寿報道番組「サンデーモーニング」だ。
総務省が今月開示した2014~15年の内部文書によると、礒崎氏は、この番組について「コメンテーター全員が同じことを述べているなど、明らかにおかしい」「番組の路線と合わないゲストを呼ばない。けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要があるだろう」などとして、偏っていると指摘していた。
放送法は第4条で放送事業者に「政治的に公平であること」を求めている。この規定について政府は従来、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体で判断する」との解釈を取ってきた。内部文書では、サンデーモーニングの放送内容に礒崎氏が強い不満を持ったことをきっかけに、首相官邸側が、一つの番組でも放送法違反と判断する場合があるという解釈に変更するように、総務省に迫って押し切った様子が見て取れる。
こうした流れに沿うように、15年5月には、高市早苗総務相(当時)が「一つの番組のみでも極端な場合は、一般論として政治的公平を確保しているとは認められない」と国会で答弁した。
目くじらを立てる必要はない
当時のこのような動きを踏まえた上で、デーブさんは「サンデーモーニングは『偏っている』ところがウリなんですよ。誰でも分かりきったことであり、(視聴者は)それを知っていて見ているのです」と持論を展開。「何も目くじらを立てる必要はないんです」と言い切った。
もっともサンデーモーニングは、政治に関する話題だけを扱っているわけではなく、「喝!」「あっぱれ!」でおなじみのスポーツコーナーなども人気だ。デーブさんは「『スポーツコーナーだけを見たい』とか、人の意見を聞きたくて見ているのではなく聞き流している視聴者もいるでしょう」と指摘した。「(礒崎氏らは)思い込みや狭い視野で考えて『井の中の蛙(かわず)』になっていたと思います」と話す。
今回公表された文書では、サンデーモーニングとともに、テレビ朝日系の「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスター(当時)も、礒崎氏に「古舘も気に入らない」と名指しで批判されていた。
※以下有料記事
毎日新聞最終更新 3/24 05:00
https://mainichi.jp/articles/20230322/k00/00m/010/416000c
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米国のメディアはもっと偏っている
この問題の背景にあるのは、礒崎氏らが当時、政権批判もする民放の一部報道番組を内容に偏りのある「けしからん番組」と捉えたことだった。
「日本はうらやましいくらい健全ですよ。アメリカのメディアなんて分断しているし、それぞれものすごい偏っているんですから」。米国でテレビプロデューサーとして働いた経験があり、日米のテレビ事情に精通しているデーブさんはこう切り出した。
「保守系メディアのFOXニュースは共和党寄りで、一日中、民主党バッシングばかりやっています。逆に(米国の3大テレビネットワークの一つ)NBC系列の24時間ニュースチャンネルMSNBCは完全に民主党寄りの放送をしています。アメリカは今、メディアリテラシーが低いんです」
対する日本の番組はどうだろうか。デーブさんは、討論番組の多くは意見が異なる論客を呼んでいるほか、情報番組ではタレントや文化人がコメンテーターを務める番組も多い点に触れ、「十分すぎるくらいバランスが取れています」と評価する。
「サンデーモーニング」は“異色”
そんな中、デーブさんが“異色”と呼ぶ番組がある。1987年に始まったTBS系の長寿報道番組「サンデーモーニング」だ。
総務省が今月開示した2014~15年の内部文書によると、礒崎氏は、この番組について「コメンテーター全員が同じことを述べているなど、明らかにおかしい」「番組の路線と合わないゲストを呼ばない。けしからん番組は取り締まるスタンスを示す必要があるだろう」などとして、偏っていると指摘していた。
放送法は第4条で放送事業者に「政治的に公平であること」を求めている。この規定について政府は従来、「一つの番組ではなく、放送事業者の番組全体で判断する」との解釈を取ってきた。内部文書では、サンデーモーニングの放送内容に礒崎氏が強い不満を持ったことをきっかけに、首相官邸側が、一つの番組でも放送法違反と判断する場合があるという解釈に変更するように、総務省に迫って押し切った様子が見て取れる。
こうした流れに沿うように、15年5月には、高市早苗総務相(当時)が「一つの番組のみでも極端な場合は、一般論として政治的公平を確保しているとは認められない」と国会で答弁した。
目くじらを立てる必要はない
当時のこのような動きを踏まえた上で、デーブさんは「サンデーモーニングは『偏っている』ところがウリなんですよ。誰でも分かりきったことであり、(視聴者は)それを知っていて見ているのです」と持論を展開。「何も目くじらを立てる必要はないんです」と言い切った。
もっともサンデーモーニングは、政治に関する話題だけを扱っているわけではなく、「喝!」「あっぱれ!」でおなじみのスポーツコーナーなども人気だ。デーブさんは「『スポーツコーナーだけを見たい』とか、人の意見を聞きたくて見ているのではなく聞き流している視聴者もいるでしょう」と指摘した。「(礒崎氏らは)思い込みや狭い視野で考えて『井の中の蛙(かわず)』になっていたと思います」と話す。
今回公表された文書では、サンデーモーニングとともに、テレビ朝日系の「報道ステーション」の古舘伊知郎キャスター(当時)も、礒崎氏に「古舘も気に入らない」と名指しで批判されていた。
※以下有料記事
毎日新聞最終更新 3/24 05:00
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